奈落の花 ネタバレ73話【漫画】久々の再会でも喜べないジュリ。釣書を見せられ未来への希望を失くしたジュリが答えます。

 

相手の写真を見たジュリは、ある思いを捨て縁談を受け入れました。

今まで感じてきたジュリの物事への捉え方、処世術は自身を言い聞かせる呪いの言葉になってしまうのです。

奈落の花73話のネタバレ込みあらすじ

兄との再会

電車から流れていく景色を眺めるジュリは思い返していました。

ジュリは28歳、長男・憲一郎40歳、次男・法次38歳。

 

年が離れていたために兄弟というより親戚のお兄さんくらいの距離感だった。

 

上の兄は特に見た目も価値観も両親をコピーしたような人。

駅を出たジュリは辺りをキョロキョロするとある人物に気づきます。

憲兄さん。

 

声をかけた中年男性は、ジュリの姿を見るとおお！と言ってにこりと笑います。

 

直接会うのは10年ぶりか、すっかり大人になったな。

そう話す兄の言葉に答える事はないジュリ。

 

兄はますます父親に似てきた。

老けたね、なんて軽口が言える仲ではない。

 

で、動画のあの仕事はやめてきたんだろうな？

 

まるで圧を掛けるかのようにジュリを睨みつける兄。

萎縮するジュリは俯いて返事をするとごめんなさいと小さく謝るのです。

 

笑って話を逸らす兄は、そう緊張するな！ほら乗れ！

と言ってジュリを車に誘導しました。

 

運転をしながら話す兄。

縁談の相手は兄さんの学生時代の知人で、実はバツイチなんだけど身元もしっかりしてる方だ。

 

権田建設、知ってるだろ？

この辺りで知らない人間はいないだろう、そこの長男だ。

 

助手席で話を聞くジュリはうん、と答ました。

こうやって権威の紹介から入る話し方もお父さんそっくり・・・。

失ったもの

久しぶりの家についたジュリはぼうっと見つめます。

家が静かだからか、ああと気づく兄は突然帰ってくるというから父さんも母さんも都合が合わなくてな。夜までいないよ。と言いました。

 

家の前に貼られた父親のポスターを見つめるジュリはこれ・・・と聞きます。

 

やっぱり知らなかったか、近々県議会議員に出馬するんだと説明する兄。

家に入り廊下を歩きながら続きを話します。

 

だからちょっと忙しくて、悪いなバタバタして。

 

家を出てる間にそんな事になってたんだと思うジュリ。

憲兄さんは結婚してるんでしょ？奥さんは？子供とか・・・？

 

と質問するジュリに、今2人目が臨月で子供と一緒に里帰りしてる。

この忙しいときに身重なのがいても邪魔なだけだ。

 

邪魔・・・。

 

兄の言葉が引っ掛かったジュリは少し暗い顔をします。

 

向かい合って座る2人。

でだ、と話の本題に入る兄はジュリに写真を見せました。

 

早速縁談の話だが、この権田建設のご長男・泰之さんだ。

 

年は36歳、前妻とは子供ができなくて子供はいない。

お前の事を気に入っていて、今回の動画の騒動の事もご承知の上だ。

 

兄の話を聞きながら写真を見るジュリは、何度見ても覚えられない顔だと思います。

 

すると兄は真剣な表情になり、正直に言うと切り出したのです。

お前の悪い噂はこっちにまで広まっている、だからこんなありがたい話二度とないと思え。

 

充分だろ？東京で10年、何か得るものはあったか？

いつまでもフラフラしてはいられないぞ？

 

そう話す兄の言葉に、ジュリは東京での事を思い出しました。

 

失ったものは数えきれない。

夢も、希望も、お金も、純粋さも・・・。

 

全て、東京の刃に削り取られていった。

 

得たものに別れを

目を閉じるジュリ。

得たものは1つだけあった。

 

今まで経験した事がなかった心からの安らぎ。

でも今はもうない。

 

目を開けたジュリに兄は話します。

 

縁談を受ければ800万はあちらがすぐに用意してくださる。

今は彼のお父様が社長をしているが、近い将来跡を継ぐだろう。

 

お前は未来の建設会社の社長夫人だぞ。

 

・・・すごいね。と返すジュリの目には生気はありません。

再び写真を見返すと、この人と結婚して子供を産んで育て・・・。

 

最初は痛くて苦しい事が多いかも。

でも我慢してればきっといつか慣れる。

 

男の人なんて、家族なんて、昔からそんなもの。

求められるまま応じるのは昔から嫌いじゃない。

 

写真を置くと、兄さんよろしくお願いしますとジュリは言いました。

この縁談、謹んでお受けします。

 

さよなら、翔輝くん・・・。